杉下右京vsキラ2 杉下右京は、いつもどおり紅茶を飲みながらかび臭い窓際の部屋で アダルトビデオを鑑賞していた。 もちろんこのアダルトビデオというのは、個人的興味で鑑賞しているのではなく、 生活安全部から回された押収された資料の一つである。 彼は眉一つ動かさずにビデオを精査すると、ふと数ヶ月前のキラ事件を思い出した。 ・・・夜神月がキラ事件の容疑者で逮捕されると家宅捜査が始まり、 黒いノート「DEATHNOTE」が押収された。 これが監視カメラの映像と相まって犯行の決め手となり、有罪が確定したのだが・・・ 現場からそのノートを拾い上げた瞬間、よくないことに遭遇してしまったのだ。 「右京さん、このノートどうするんすか?」 『焼き捨てて、二度と使えないようにします。このようなものが、世の中に存在してはいけないんですよ。」 そうしてノートを拾い上げ、全ての注意書きに目を通して視線を上げたたその瞬間、信じられないものが見えた。 「・・・・」 そこにはおおよそ人間と思えぬ体躯のものが中に浮いていた。 思わず杉下は 「僕もようやく幽霊に会う能力に恵まれたんでしょうかねえ・・・」 とぼんやり考えていると、その幽霊がなんと話しかけてきた。 「お、そのノートを持っているということは、俺が見えるんだな、俺は死神のリュークだ」 「あなたが、何者か、推測するに、この事件の真の黒幕というところでしょうかねえ・・・」 「ちょっ右京さん!誰と話してるんすか」 思わず亀山も口を挟む。 「そんなえらそうなもんじゃない。ただノートを渡しただけだ」 「なんていうことをしてくれたんですかっ!」 思わず激昂する杉下 「まあそう怒るなって。悪い話じゃない。」 「デスノートをお前なら、アイツ(月)よりうまく使えると思うんだがな。悪い話じゃないだろ?」 杉下は黙り込んだあと、静かにこう言った 「冗談じゃない」 「日本は、法治国家です。どんな犯罪者であれ、こんな方法で裁くことは許されないんですよ。」 「そうか。でも俺は、きっとまた現れるぜ。」 「捕まえます。何度でも」 「そうか、楽しみにしてるぜ。」 そういうと、奇妙な怪物は消えていった。 「いったい何があったんですか?」 亀山に応える。 「なんでもありません、行きましょう、亀山君。」 3ヵ月後、日本国内で変死事件が続出、ほとんどが原因不明の窒息死だった。 この意味不明な窒息死に、専門家も首を傾げた。 さらに一ヶ月後、それは世界的に広がりを見せた。 再びICPOで会議が開かれ、世界的名探偵「L」の派遣が決定された。 そして、再びかつてと同じメンバーでの捜査が始まった。 Lの調査により、この事件の犠牲者は共通点があることがわかった。 それは、会社経営者、幹部、政治家、現役世代といった人間に偏りが見られることだ。 この端数を除くと、各世代間の数値が等しくなるというのだ。 「いくらなんでも、広がりすぎじゃありませんか?」 亀山が口を挟む。 「しかし、我々にはもうこの手がかりしかありません。これを調査しましょう」 そして、再び二人は独自に調査を開始した。捜査チームを放棄して。 「亀山君、面白いことがわかりましたよ」 「前に述べた偏っている人々、全員ヨツバ電機に関わってきています。」 そう、ほとんどがライバル会社、リストラされた社員など、広範な範囲で関わっている。 あまりにも偏りが広すぎる、という疑問も、これで解決したわけだ。 「行きますよ、亀山君」 「わかりました、ヨツバ電機へ、ですよね」 ヨツバ電機へ付くや否や、杉下はさっきまで外国人と商談をしていた恰幅のいい中年男性に話しかけ 「どうも、関連会社の松上です。その節はお世話に・・・」 と急に知った顔をして挨拶を始めた。 「実は、近日亡くなられた松平さん、私の親類でして・・・。そこで、是非お話をお伺いしたいのですが・・・。」 そうこうしているうちに、 「どうやら、お話が伺えそうですよ。人事部長に、アポイントを取っておきました。」 やっぱりこういう力だけはかなわない、亀山は驚いた。 「警視庁特命係の、松上です。」 「鶴川です。」 第二のキラ事件が始まって再び彼らは偽名を使うようになっていた。 「いやぁ、驚いたなあ。警察とは聞いていなかったんですが」 人事部長を名乗るその人物は頭を掻きながらばつが悪そうに話した。 「近日亡くなられた松平さん、足利さん、北条さん、共通することを教えて頂けませんか。」 「そういえば、全員火口さんと、何か諍いがあったような・・・。」 「ありがとうございました。」