ローゼ姉さんのドイツ語講座第18回「完了形・未来形」(とんでもないものを頭冷やそうか)

ローゼ

Guten Tag! Wie gehts?

なんだかんだで第18回を迎えたドイツ語講座、司会のローゼ・オイゲニー・フォン・エッカルト・コーツブルクよ。

さて、今回やるのは「完了形」と「未来形」。これらでは、前回やった動詞の3基本形のうちの「過去分詞」というものを使うから、どうしても思い出せない人は戻って見直すことをお勧めするわね。特に「現在完了形」は会話では多用されるから、しっかりやらないといけないし。

というわけで、時間も押してることだし、はじめるとするわね。

 

 

Lektion 1

haben支配の現在完了形

ローゼ

……なんだか、表題はややこしそうなこと書いてるけど、今は気にしなくていいわ。

まず「現在完了形」だけど、他の言語やった人なら何のことかわかるかしら?

英語で言うと、「Ive finished my homework.(私は宿題をやり終えた)

フランス語なら複合過去で「Jai chante beaucoup de chansons a la fete.(私はパーティでたくさん歌った)とかが当たるかしら。

大まかに言えば、過去の出来事が今にも何らかの影響を与えているときに使われる用法で……まぁ要するに「普通の会話文での過去」ね。

とは言っても、英語での完了形とは使い方がちょっと違うから注意したほうがいいわ。ドイツ語での現在完了は英語の過去形の文も表すことが出来るし。

というわけで、英語のときにやった図を描くわ。

 

(例の数直線っぽい現在完了の図)

 

さて、現在完了の表し方だけど、英語の「have」とかフランス語の「avoir」と同じく「持っている」という意味の「haben」を使うの。そしてその後に……これも英語やフランス語と同じだけど……過去分詞をつけるわけね。

ただちょっと気をつけないといけないのは、英語・フランス語と違って「過去分詞は最後に行く」ってことかしら。講座の最初からたびたび出てきてる、「動詞と結びつきが強い語が最後に来る」っていう『ワク構造』がここでも発揮されるのよ。

まぁ、とにかく見てみましょ。

 

trinken」の例

ich habe ... getrunken

du hast ... getrunken

er hat ... getrunken

wir haben ... getrunken

ihr habt ... getrunken

sie haben ... getrunken

 

次は用法だけど、さっきも説明したとおり、ドイツ語では普通に「過去」を表すのに使われるわ。

前にやった過去形は、物語とか文章とか、特に客観的に言いたいときに使われるから。

他で言えば……過去形は、seinとかhabenのときに使われるくらいね。

だから、会話文とか報道とか、過去のことでも話者がガンガン表に出てくるようなことは現在完了で表すのよ。

こういう使われ方するから、英語のときにやっちゃいけないって習った「完了形での過去の副詞」が使えるわけ。

Ich habe gestern sehr gut geschlafen.(昨日は良く眠れました)

英語では現在完了で「yesterday」なんか使ったら減点食らうし……作者みたいに。

どうも、この作者は英語のテストで時間がなくなるとドイツ語で考えてしまうから、ただでさえ低い点数がさらにやばいことに……(汗

 

さて、じゃあ、みんなお待ちかねの例文を見てみるわね。

 

Und ich war ihm so dicht auf den Fersen. Er hat schon wieder geschafft, etwas zu krauen!

Nein, das ist nicht wahr. Er hat nichts gestolen. Er hat nur fur mich gekampft, herr Inspektor.

Oh, nein. Er hat etwas sehr Wertvolles gestohlen, Prinzessin. Und zwar, Ihr Herz!

Oh, ja.

 

今の動画中の赤字が現在完了形なんだけど……たった30秒の間に何回も出てきたわね?

それだけ、完了形って言うのが頻出だって事。逆に言うと、これを覚えればかなりの会話文が作れるわけね。

……さて、次は現在完了でも少し例外なものを見てみるわ。

 

Lektion 2

sein支配の現在完了形

レクツィオーン1でわざわざ「haben支配」って言ったのは、「完了形を作るのにhabenを使わない例外が存在するから」なの。

その「例外」というのが、「sein支配の動詞」というわけ。

前に前置詞をやったときの「○格支配」みたいに、「haben/sein」と結びつくと憶えてくれればいいわ。

……まぁ、動詞のほとんど……正確に言うと他動詞のすべてと自動詞の大半が「haben支配」なんだけど、「sein支配」の動詞には結構使うものも多いから、憶えないといけないのよね。

とりあえず、どういうものが「sein支配」なのかってところを見てもらうわ。

 

1.場所の移動を表す自動詞「gehen, kommen」など。

2.状態の変化を表す自動詞「werden, sterben」など。

3.例外「sein」。

 

とりあえず、4格を取る他動詞は全部「haben支配」だから気にしなくていいとして、これらの自動詞は使い方に注意すること。完了形は「haben」じゃなくて「sein」を変化さえてつかわないといけないからね。

ちなみに、辞書ではどう書いているかというと、自動詞であることを示した後に(s)とか(sein)とかなってるわ。「haben支配」の動詞には何も書かれていないことが多いから、注意してね。

……ちなみにこの使い分け、実はフランス語とほとんど同じでね。先にそっちやった人にはかえってわかりやすいかもしれないわ。

フランス語では「haben」に当たる「avoir」で大半の複合過去を示すんだけど、「gehen」に当たる「aller」とか「kommen」に当たる「venir」、「werden」に当たる「devenir」、「sterben」に当たる「mourir」は、「sein」に当たる「etre」で受けることになってるからね。

 

じゃあ、次は過去完了に行くわ。

 

Lektion 3

過去完了形

 

まぁ、過去完了形って言っても、別にたいしたことにはならないんだけどね……

使い方は、「過去における過去話」ね。

例としては……

 

Als Kind hatte Nanoha ein Zaubermadchen geheisen.

(子供の頃、なのはさんは魔法少女と呼ばれていた。)

 

コレについては、単純に現在完了を過去に持っていくだけだから、この辺りにとどめておくわね。

さて、次は未来形をやるわ。

 

Lektion 4

未来形

さて、次は「未来形」なんて名前がついているものをやるけど……これは「時間的な未来」ではなくて、あくまで文法用語であることを、まず念頭においてね。

というわけでまずは「未来形」の作り方だけど……

 

werden ... 不定詞

 

こんな感じ。

何度も出てきた「werden」を第2位に、そして文末に動詞の不定形を持ってくるの。これも、『ワク構造』よ。

じゃあ、今度はどうしてわざわざ「未来というのは文法用語」って言ってたか、説明するわ。

というわけで、まずは未来形を使った例文を見てみるわね。

 

Na, sagte ich etwas Falsches?

ねえ……私の言ってること、何か間違ってる……?

Weil ich unbedingt alle schutzen will, mus ich Macht bekommen!

あたしは誰も傷つけたくないから、強くならなければならないんです!

Du wirst ein bischen abkuhlen.

少し……頭冷やそうか。

(君は少し冷静になるようにしなさい)

 

……とうとうトラウマシーンを全部訳しちゃったわね。

さておき、最後の文章。「君は〜しなさい」っていう文で未来形が使われてたわね?

こういう風に、2人称に対して未来形を使った場合、命令を表す文章になることが多いの。

じゃあ今度は1人称だけど、今度は「意志」を表すわね。……まぁ、これは英語にも言えるけど。

3人称はどうかというと、「推量」ね。「彼は〜するだろう」って感じで使われることが多いわ。

1人称:「Ich werde deinen Wunsch sicher erfullen.(僕は君の願いをきっと叶えるよ)

3人称:「Es wird bald regen.(もうすぐ雨が降るだろう)

ちなみに、「時間的な未来」は「現在形に未来の副詞」で表すことになってるの。

Morgen fliege ich in Deutschland.(私は明日ドイツへ行く)

 

 

さて、今回はコレで終わり。

実はもうひとつ「未来完了形」っていう「〜までに〜だろう」ってのがあるんだけど、「haben/sein」の順番が入れ替わったりしてややこしいし長くなるから、また別の機会にやることにするわね。

次回は、「助動詞」についてやろうと思うわ。……というか、今回出てきた「完了形・未来形のためのsein/haben/werden」っていうのも「助動詞」なんだけどね。

これらもそうなんだけど、次回のは英語の「I can fly!」における「can」のことよ。というわけで、楽しみにしててね。

Tschus!